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住宅ジャーナル2007年3月号


ヴィックのHP

   
耐震改修・構造計算の根拠を明示
   住宅を機械で揺らす耐震診断で建物の強度を測定 
                
(住宅ジャーナル3月号掲載分を部分紹介)

 ATS一級建築士事務所(東京都大田区)の田中豊さん。
「動的耐震診断」というロゴの入った車で大田区一帯の町をまわる。(写真)


 1月に蒲田での耐震リフォームを終えた後、口コミの紹介で今度は山王の家を手がける。
そんな田中さんの武器が、地震シミュレーションを起して耐震診断ができる動的耐震診断システム「動的耐震性能計測器DYNAS」(製造:ビイック)である。

「耐震リフォームだけでは、なかなか受注はきませんよ。皆、直したいと思っていても実際には踏み切る機会がないんです。でも他のリフォームの際に動的耐震診断を行って、耐震性能を明確にお客様に示せば、耐震改修工事も、一緒にやってもらえます」

起振機で揺れを起し強度を測定

地震を起すには建物の2階(または3階)の重心部分に起振機を設置。重量は115キロ。おもりを揺らすことで人工的な震度2の弱震を起こす。建物全体を揺らしながら各方角にセットしたセンサーで加速度を測定。各方向が震度いくつまで耐えられるかを計測する。

ATSの田中さんが手がけた蒲田のA邸では2階中央の6畳の部屋の畳を上げて、床板に起振機を設置。1階東面の壁・押入れなど合計5ヶ所の耐震リフォームの効果をシミュレーションした。計測はx方向(東西方向)とy方向(南北方向)の2つの方向に向けて行い、各ポイントでの加速度(=地震の揺れの強さ)を計測した。
 
2階中央に起振機を設置し、パソコンで操作
3つのセンサーで各方角の強度を測定

 耐震改修前は、Y方向東側の加速度が347.3galと非常に弱く、震度6強の地震では損傷の可能性が生じる。また、Y方向中央464・9gal、続いてX方向南側507・3gal,と共に弱いため、他方向の強度とバランスをとりながら、東側・南側壁面と中央の押入れを、筋交いと耐力壁を用いて補強工事を行った。

耐震補強の結果、Y方向東側は540・6galまでアップ。約200gal上昇。震度6強の地震でも損傷を免れる可能性が高まり、震度7でも大損傷の危険を逃れるまで耐力がアップした。またX方向南側も576・0gal(約70galアップ)、Y方向中央で574・6gal(約110galアップ)した。これで施主も納得の耐震診断データーが検出された。

 

構造計算に整合性と補完性

 こうした動的耐震診断の効能とは一体どこにあるのか。田中さんに聞いてみた。
 「一般的な耐震診断は、筋交いの数、壁の種類など一般的に強さが決められていて(壁倍率)、それをもとに構造計算によって強度を出します。つまり構造計算ではマニュアルを元に強度を出すので、実際の強さを測ることができません。それに対して動的耐震計測では基礎の上部の弱さがシミュレーションによって分かります。水平の動きが分かることで、壁の実際の強度を確かめることができ、合わせて床の強さも想定できるので構造計算に整合性が出てきます。一般的な耐震診断では知りたくても分からなかったところが分かるので、建築士の仕事に、よりいっそう補完性・整合性を持たせることができます」

 動的耐震診断とは、例えてみれば、今までレントゲンを持っていなかった医者がX線機器を使って診察をするようなものかもしれない。
 

  (問合わせ)(施工)ATS一級建築事務所 TEL 03-3778‐2634             (機器製造)ビイック TEL 03‐3947‐5800


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