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住宅ジャ−ナル2006年8月号
 門型フレームが住宅を変える
 設計自由度を大幅に向上、耐震改修市場でも注目

GUTTフレーム / カスタムハウジング
J‐耐震開口フレーム / J建築システム
GATSフレーム /JOCタチカワ
SE構法 SE−GOフレーム工法 / NCN
ビッグフレーム / 住友林業
J−FRAME / ジューテック
パワーストラクチャー / ナイス
 

IKラーメン工法 /伊藤忠建材
フレームシステム グランドワークス

                 
 いま木造住宅では、金物工法をはじめとして、高壁倍率の構造面材などが多用されるようになり、強度性能が著しく向上するようになつてきた。また昨年発生した耐震偽装事件などの影響もあり、木造住宅でも構造設計・強度に対する関心が高くなつた。しかしその一方で、それに比例する形で性能・強度に関する性能実現の方法が一層精緻になり、これまでの現場知識や技能では対応できないほど難しいものになりつつある。そのため木造3階建以上で必要な構造計算が2階建でも実施するようになるなどの動きが大きくなってきた。それは逆からいえば、木造住宅での構造設計や施工に対する信頼性がさらに問題とされることになり、一般からはさらに厳しい視線が注がれることにつながってきている。
 そうした市場の動きに対して、もっとシンプルな構造を作っていこうという動きもある。それが門型ラーメンの活用である。木造門型ラーメンは、以前からエポキシ樹脂などでケミカル接合するなどで使われてきた手法だ。木造住宅でも簡単に大開口を設定でき、大空間をプランできる。ただ従来の個別に設計され使われてきたものは取り付けが非常に面倒であった。
 最近普及しつつある各種の製品群は、プレカットした集成材を特殊な金物やボルトなどで接合できるようにしたもの。接合を乾式にして現場施工の手間を少なくし、扱いやすく従来の個別制作のものに比べ非常に簡単に施工ができる。そのため木質門型ラーメン、フレームとしてある程度規格化し、多くの現場で使えるようになつている。主な各社の製品の特徴は表の通りであるが、これらの製品の最大の特徴は、@規格化・プレカット化、A高壁倍率の実現、B施工性の向上、C構造計算に対応(サービス提供)などである。これらにより誰でもどこでも簡単に使えるようにしたことである。さらには規格化や施工性能向上で大幅なコストダウンも可能となつた。
 用途は、一般的には狭小地住宅等の1階部分の前面開口部分での利用が一番多く、ビルトインガレージを作るときなどは最適だ。しかし構造的な視点からみると最大の利用メリットは、益々厳しくなる法律対応のために複雑化する一般的な木造住宅の木組や耐力壁の配置などを、この門型を利用してもっとシンプルな形にできるということだ。そこには構造強化と大空間の構築、コストダウンという大きなメリットがある。新築住宅では、今後狭小地住宅以外の大きな用途が開かれている。そのためには門型ラーメン供給各社がユーザービルダーといっしょになって、木造住宅の新たな躯体構造やモデルプランの開発がさらに必要だ。
 また、今最も盛り上がりつつある市場はリフォームでの活用だ。今年6月にスタートした生活基本法では既存住宅の耐震改修が大きな施策となつており、一般的なリフォームに付随した耐震改修を積極的に進めようとしている。そうした動きを受けてリフォーム業界では、昨年辺りからこうした製品を積極的に使うようになつてきた。新築ではキッチンや浴室が建物の四隅に配置されるケースが多いが」リフォームではその水回りの増改築が一番多い。その部分を工事しようとすると必ず構造耐力に関わる部分に引っかかるが、こうした大開口と構造耐力(耐震補強)を満足できる製品は、非常に重宝するものとなつている。
 木質門型ラーメンは、新築市場では大都市狭小地住宅という限定的な利用に終始する限りはそれほど普及しないだろうし、遭に、今後のリフォーム市場での用途拡大が大きく進んでいきそうだ。





門型フレーム普及のカギは設計士が握る?! 
門型フレームが設計自由度向上をサポート

                          GUTTフレーム カスタムハウジング



「設計士への引き合いが実案件に入りつつある―」
 日本初の木造住宅合理化システムグループ認定を取得した、現GUTT工法を開発し、会員163社のVCチェーン展開により累計約5000棟を供給してきたカスタムハウジング梶i橋本晃芳社長、大阪市淀川区西中島、TELO616309−1131)。
 同社では、14ページに紹介した10Cタチカワと3年前から共同で門型ラーメンの開発販売を行ってきた。そして設計事務所で知られたことが効果を上げ、採用実績が増加。デザインの自由度と、鉄骨RCの代替としての、木造でのコストメリットや施工性向上等が.設計士に認知されてきたからだ。
 カスタムハウジングには、都市狭小地やビルトインガレージ・大空間・大開口への対応策として、外壁ラインの壁削除の要望がグループ内から挙がっていた。つまり、ガレージ等で部分使いできる門型ラーメンの存在が求められていたのだ。
 同社の門型フレームは、VC加盟店は勿論、加盟企業以外誰でも1フレームから採用可能(加盟金30万円)。
 またカスタムハウジングでは、VC加盟店に向けて、門型フレームを採用した住宅商品「オーセンティックハウス」も販売。昨年4月から2階建6タイプ、今年4月から3階建8タイプを販売開始した。
 ラーメンフレームの部材売りとしては、3年間で3000フレームの売上まで成長し、販売の方向性が明確になつてきた。
 カスタムハウジングでは門型フレームの設計自由度向上という点に注目している。壁が邪魔になるデザインでも、基準法の点から壁を組み込まざるを得ない場合のサポートとなるからだ。類似した場面では、構造上1階を木造ではなく鉄骨・RCの混構造にせざるを得ない場面も多かった。この点では、鉄骨と木材の取り合いの接合部分の強度が、地震の揺れの場合に不安視されていた。
 また当然、鉄骨・RCを採用するならば木造と比較してコストも嵩む。基礎へのコスト増だけでなく、現場職人の数も圧倒的に増え、現場監理面での負担も大きくなる。
 鉄骨・RCの場合、地中深く穴を掘る。よって、優良地盤でなければ隣接地に影響を与えかねない。そのための地盤工事コストも上物に加えて余分に必要だ。
 しかし門型フレームの高い壁倍率・耐久性により、木造による鉄骨・RCの代替が可能になり、当然木造大工職人だけでの施工が実現。住宅全体のプラン・施工も混構造の場合よりシンプルで、現場の基礎工事も従来の木造と同様ですむ。
 こうした1階鉄骨・RC造の代替としての門型フレームは、都市部の3階狭小地の戸建分譲ビルダーや工務店への理解が早いという。
 それは、都市部での1階ガレージ化による防犯機能を付加した住宅へのニーズの表われでもある。それはまた都市の狭小地による3階建のニーズとも合致したものともなっている。
 こうした分譲系ビルダーや工務店への採用増加の背景には、設計士への提案の効果が挙げられる。
 それは設計の専門家でなければ、門型フレームによる独特な住宅デザインへの変化が掴めないことが大きな要因としてあるというのだ。
 そこで、カスタムハウジングでは、去年の初めから設計士への門型フレーム訴求に切り替え、住宅デザインへのスペックインを提案してきたのだ。
 その結果、実案件が増加、設計士による独自の全面フル開口等の注文住宅も増加した。設計士にとって、新規デザインを可能とし、自分の措くイメージの具現化が可能である点が大きいという。
 また木造では不可能であったプランが可能となつたことも設計士にとって大きな訴求となつている。
 設計士からのブランチエツク依頼は1年前の5倍に増加している。



耐震建築はまず窓から
間違いのない製品と現場簡単施工
               」−耐震開口フレーム   」建築システム

  
     新潟での施工例

 他のラーメン構造とはひと味違ったJー耐震開口フレームを全国展開するJ建築システム。札幌郊外のオフィスには開発のために取得した80余りの特許や認証がずらりと並ぶ。木質構造の研究開発に人生の全てをつぎ込んだと語る手塚純一社長・工学博士。出発点は、阪神・淡路大震災だったという。被害現場を調査したところ、崩壊した建物の多くは、開口部の崩壊がひどく、窓・店舗・車庫まわりがひしゃげたりつぶれたりしていた。また家の機能上一方向側に開口部(窓) が集中しがちなため建物全体が偏心によるねじれを起こしていた。耐震建築はまず単純に開口部からだ、こうして開発されたのがJl耐震開口フレームである。
 震災後に開かれた「木造住宅の耐震改修補強構法技術コンペ」 では、国土交通大臣賞を受賞。一方では東京都都市整備局の 「安心で信頼できる木造住宅の耐震改修工法・装置」 に選定され、静岡県でも補助金対象構法に指定されるなど多方面から高い評価を受けている。
 特徴としては高品質が要求されるフレームコーナー部の施工を工場で行うことで、間違いのない製品を供給し、現場で簡単に施工することができる。コーナー部のアラミドシートはネット状の繊維でジェット機素材や防弾チョッキに使われている耐力繊維。これに特殊な2液性からなるエポキシ樹脂を用いて接合部に貼り付けることによって鋼板の約5倍の強度を発揮。
 また工法を問わず従来の軸組みの中にはめ込むビルトインなので他のラーメン構法とは異なり、耐震改修で窓をつぶして壁をつくらなければならない時や、窓を残したい場合にも有効である。新築の場合は構造上、壁にしなければならなかった部分もこのフレームを使えば開口部に作り変えることができる。「BOX型フレーム」は窓の耐震のために作られており、柱や梁の内側に4分割されたフレームを入れることで強化。木造住宅の筋かい・合板と同じ耐震部材として機能する。「門型フレーム」 は掃き出し窓や玄関・ドア・車庫等に利用。変形特性を考慮しアラミドシートとボルト接合を併用している。
 これまで全国で1000フレームを達成。(新築が6割、4割がリフォーム)価格は1棟あたり30万円程度。力のすみわけを行っていることから構造計算がしやすい。またフレームを採用した建物の構造計算は数割引きで引き受けている。流通販売店との契約によって現場に供給しているが、販売店は約30拠点で全都道府県のまだ半分ほど。全国完全普及を目指して新規販売
店を募集している。
 これまでは開発が中心だった。経済産業省の補助事業によって数千万の補助金を受けたが、同社ではその2倍の開発費を出資してきた。今後の目標は投資から回収への転換だという。「この製品がいいのはもはや当たり前。これからはエンドユーザーや工務店にどう理解してもらうかが決め手だ。まずは普及。儲けはそれからだ」と手塚社長は語る。



急激な拡大を見せるガッツフレーム 「素材」を活かすための滴辺実務を整備
GATSフレーム構法 」OCタチカワ

                  

「木造門型ラーメンフレームは住宅革命だ」 
「ガッツ・フレーム構法」を販売するJOCタチカワ(本社・東京都江東区千田23−14タチカワビル、TELO3−5683−4468、本部・大阪市中央区) の立川俊彦社長は、その機能性を指してそう語る。
 門型フレームにより、施主は住宅入居以前の段階から、可変性のあるスケルトン・インフィルが容易にデザインイメージできる。これを指して立川社長は革命的〃だと評する。
 J0Cタチカワでは、創業90年にも及ぶ同社親会社の伝統と、テレビCM等の高い認知度、VCシステム、会員サポート体制を敷いて営業展開を行う。ガッツフレームをあくまで住宅部材素材の一つだと認識し、工務店・ビルダー、そしてプレカット工場への販売営業により急激に拡大。今年1〜5月の取扱量は、前年同月比30%増、年間取扱量は昨年の倍の3000フレームを見込む。
 JOCタチカワは、次代の新需要を掘り起こすべくカスタムハウジング梶i16頁で紹介)と共に共同開発を行い、平成17年にいち早く特許を取得。
 ガッツ・フレームは、壁倍率6・6の耐力壁と同等耐力を持ち、最大10mの大開口を実現、2003年から「ガッツ・タチカワ会」会員工務店・ビルダーへ供給を開始した。
 同構法の接合金物は、直径30皿の特殊丸棒を.2本集成材に差込み、ドリフトピンで緊結する。特殊丸棒に溝を掘り、特殊丸棒とドリフトピンがテコの原理で組み合うことで、強固な緊結を可能とするのが特徴だ。
 集成材の経年収縮により金物の緊結が凄み耐力低下が危ぶまれる。しかし同構法の金物の場合、集成材の縮みによりさらに丸棒の緊結力は先のテコの原理により高まる。耐力実験でも、敢えて木材収縮による遊びをもたせ、耐力維持機能を実証。また、板上のせん断金物も木材収縮時の強度劣化をさら防止している。
 同社とカスタムハウジングでは、開発以来何度も金物に改良を加えている。
 まず金物に、高速道路等でも使用されている、50年以上のサビ防止力を持つダクロメッキ処理を施した。金物は集成材の中に隠れ錆びる心配は極めて低いが、基礎との密着・木材腐食を考
慮し、敢えて強力な錆び防止処理を行っている。
 また施工性を高めるため、ドリフトピン数の削減、柱脚ボックス金物の導入、柱脚金物とアンカー連結のための遊びの導入などの改良を行った。
 そして施工では、前日の丘組みの後、クレーンにより1フレーム約15分、手起こし約20分で建築可能だ。このラーメンフレームにより、ビルトインガレージの設置、鉄筋造のような全面ガラス張り、また20〜30畳のビッグリビング等、実に様々なデザインバリエーションが可能となる。ガッツフレーム1本で3〜4トンの荷重が受けられるため、デザインの幅が広がったのだ。
 JOCタチカワでは、VCである「ガッツ・タチカワの会」を主宰。加盟金20万円、会費は月々5000円。現在は全国50社強の地域工務店・ビルダー(タマホーム・スターツ・西松建設等)が加している。同会は加盟各社のガッツフレーム採用時に構造計算を行い、確認申請まで無料サポートする。
 既に全国の建築主事や確認検査機関に、同構法を提出しているため、主事や確認機関にも認知済み。よって会員はスムーズに確認検査をパスし、雑多な実務に足をとられることなく進められる。 こうした供給体制を構築しているJOCタチカワでは、ガッツフレームを工務店・ビルダーが個々に活用する「素材」 の一つにすぎないと説明する。しかしこの素材をうまく使えば、大手ハウスメーカー並のデザイン住宅が設計可能であり、今までとは違う家づくりが可能となる。
 JOCタチカワのスタンスに応えるように、例えば西松建設では、ラーメンフレームの採用で独自に耐震等級3を取得し、新しい手法を展開し続けている。


中期販売計画で躍進! 新商品「SE−GOフレーム」発表
  SE構法/SE−GOフレーム工法エヌ・シー・エヌ(NCN)


 
  SE構法による施工                  SE構法接合図

年間供給棟数1200棟、登録施工店数480社、売上高42億円と、木造フレームのリーディングカンパニーとして躍進するNCN。
 SE構法は、構造家 播紫氏の監修のもと、木造住宅向けに開発された準ラーメン構法で、この10年間で総供給棟数は6000棟にも及び現在の木造ラーメンの草分け的工法である。
 そのSE構法がこの7月、さらにSE構法をパワーアップさせる「SEI−GOフレーム」を発表した。
 「SE−GOフレーム」は、木質構造の分野で実績がある構造家の中田捷夫(なかたかつお)氏が開発したもので、NCNが独占契約を締結することによりSE構法住宅での使用を可能にした。今までのSE構法での最大開口は6mであったが、この 「SE−GOフレーム」は8mまで可能にした。
 NCNは、生活様式が変わるごとに住み替えるのではなく、住んでいる住宅の空間をレイアウトし直せることが住宅の資産価値を保つ方法の1つであると考え、SE構法によるスケルトン&インフィル住宅を提唱。そのスケルトン&インフィル住宅は、間口の広い大空間を必要とするが、確保できる間口が在来工法では3・6m以下、SE構法では6・Om以下であるのに対し、SE‐GOフレームを使用したSE構法では8・0m以下となっており、これまで以上に広い空間で、柔軟性に富んだスケルトン&インフィルを実現できる。SE−GOフレームによって可能になる8mクラスの間口は、一般の木造住宅、特に狭小住宅での大間口、間仕切りをなくしたワンフロア・ワンルーム、大断面(大きな窓) による十分な採光、明るい空間、更に乗用車3台を横に並べることができるガレージ付き(ビルトインガレージ)住宅など在来工法ではできない空間デザイン、機能性をもたらす。
 SE構法住宅を取り扱う登録施工店の工夫次第で、施主にとって、より満足度の高い住宅を提供できる。
 一方、設計・施工面でもSE−GOフレームは、様々なメリットがある。SE−GOフレームは、もともとクロスピン金物を使った木造ラーメン工法「CPR接合システム」 の部材であり、SE構法と同様に構造計算を行う住宅工法であることから、SE構法用の部材として容易に取り込むことができた。
 NCNでは、CADと連動した独自のシステムを使って物件ごとに立体応力解析を行なっているが、SE−GOフレームを使用する物件であってもシステムを修正・補正することなく、通常通りに解析作業ができる。
 また、施工現場でもSE−GOフレームは、加工・組み立ての一切を専門工場で行い、SE構法用部材と同様に取り扱えるようになっており、登録施工店は、専門の講習を受けたり技術を習得する必要がなく、すぐにSE−GOフレームを使用する物件に取り組むことができる。
 NCNでは、3年後の年間供給棟数3000棟を目標に、新役員体制で新商品開発や供給体制強化など、「安心して住める住宅づくり」をさらに進めていく。



コペル二クス的転回の梁勝ちラーメン

100年耐久で家族3代が過ごせる遺産づくり

                       ビッグフレーム(BF)構法 住友林業
 

    メタルタッチ接合図                    プラウディオBF構造躯体

 相次ぐ木質ラーメン工法の開発の中で、大手老舗メーカー住友林業もビックフレーム構法を開発した。
「これは、世界的にも最高水準の純ラーメン構造です」開発プロジェクトを指揮した那須秀行エキスパートは語る。その自信を裏付けるのは、柱1本で壁倍率16・2倍、許容水平耐力14・5kNという圧倒的な耐力。柱1本で通常の門型ラーメンーフレーム分の約2倍の耐力を有する。
 原点となったのは開発理念だという。『@建て替えによる経済的負担を軽減し、資産としての価値を高めたい。A三代に渡って家族が共に過ごした証として残る建物を提供したい』 こうした理念の実現のために可変プランによる社会性と耐久性をアップさせる木質ラーメン構造の実用化を急いだ。その結果、家族三代、ゆうに1心0年は安心して住める構造躯体が生まれた。
 従来のラーメン構法では、通し柱が各階層を突き抜けた「柱勝ち」になつており、各階層の部屋割りは、他階とほぼ等しい。しかし住宅では各階ごとの部屋割りが異なるので、「柱勝ち」よりも「梁勝ち」にした方が部屋割りが自由にできる。このコペルニクス的転回とも言える発想によって梁勝ちラーメン構法が生まれたが、その従来と全く異なる構法のために1から開発を始めなけれぽならなかった。接合金物はFEM解析という手法によって形状を解析。構造関連だけでも15余りの特許を出願して完成した。
 施工は、治具で基礎アンカーボルトの位置を決めた後、ビックコラムを基礎に直接接合。ビックコラムと梁は木材のめりこみを防止するためにスクリュー形状をしたフィンボルトを用いている。更にフィンボルトをジョイントボックスにメタルタッチ接合。この接合方法により高い剛性と強度を実現した。
 ラーメン構法特有の開口部の広さに加えて内部も広くとれる。大断面の柱を使えば柱が突き出て部屋の間取りが狭くなるのが短所だが、BF構法では、扁平形状をしているため、でっばりによって内部の間取りが不自由になる弊害がない。純粋なラーメン構法なので耐力壁はゼロ。入居者入れ替えによる改修の際には耐力を持たせていない内部の壁を自由に張り替えることが可能。ガレージ部は最大1・8mまでのキャンティが作れる。
 現在は三階建て木造住宅「プラウデイオBF」 のみに採用。販売地は東京・名古屋・近畿のみ。首都圏でのシェア奪還を目標にこれまで約90棟を販売した。1坪あたり62万円から。住友林業の他の木造住宅とほぼ同コストで、耐震住宅としての建築費用は同社の信頼価格内に収まっている。プラウディオBFは60年間ロングサポートシステムの対象となっており、20年間は無償点検21年間〜60年間は有償点検で住まいをサポートする。
 創業415年の住友林業が新世紀に向けて発信するラーメン構法。100年の夢を実現する住まいはまだ建てられたばかりだ。

−FRAME ジューテック
大手涜通業のラーメンフレームヘの取組み


 プレカットの付加価値向上のための、木質門型ラーメン、という位置付けがある。それは主に、プレカット1棟納材による販売展開を行う大手流通業者にとっての位置付けだ。彼らの眼目は、いかにしてプレカットヘ新規部材・新規デザインを反映させ、新規二−ズ拡大のアイテムを増やし、プレカット展開を拡大させるかにある。門型ラーメンはそのアイテムの一つとして、どのようにソフト化されているのだろうか。ジューテックとナイスの展開を見る。


門型ラーメンの採用が工務店の内実を示す!?
プラン提案の幅を広げる門型フレーム 」−FRAME ジューテック


 プレカットへ反映させる門型フレームの差別化商品としての役割とはどのようなものなのか。大手建材問屋潟Wューテック (東京都港区、TELO3−3432−2243) では、プレカットにおける差別化商品として門型フレーム 「J−FRAME」を提案。木建ルートから同社「ジューテッククラブ」登録店へ供給を行っている。工務店へのプレカット供給率を高めるためのTイFRAMEの価値とはどのようなものなのだろう
 約2年前から同社が取扱いを開始したJ−FRAMEは丸棒金物、せん断金物、柱脚BOX金物、ドリフトピンを使用。
 ジューテッククラブでは地場の販売店、工務店、設計事務所を中心に約900社の登録店からなり(登録費3000円)、そのうち約200社が有料の1−FRAME技術研修を受講 (受講料20、000円/1社、技術マニュアル代込) し、その中で約50社の登録店が積極的にTイ・FRAMEに取組んでいる。ジューテックでは、プレカットの躯体と共に木建ルートで供給している。
 ジューテックにとって、J‐FRAMEの価値がそのまま販売店や工務店への差別化商品としての役割を持つ。その差別化により、プレカット営業ツールの一つとして機能することが目されている。
 それは、工務店との規格的なプレカット図面へーーFRAMEを導入したデザイン提案を可能とすることであり、プラン提案の幅を広げる役割を果たす。
 その中で特徴的なのは、−−FRAMEを積極的に採用するのは成長を続ける工務店であることだ。企業として力のある工務店は、常に世の中の動きを捉え、先手を打っていることが示されている。成長企業による新規部材の採用率の高さはまた、従来の家作りへの警鐘でもある。
 ここでは、門型フレームの採用が、工務店の内実を図る一つの目安ともなっていることが垣間見える。
 また、工務店の門型フレーム採用と、企業としての成長度合いの関係は、施主の住宅デザインイメージへの高い反映率、つまり高い顧客満足度の表れでもある。
「施主と住宅生産者との住宅プランのイメージに、大きな温度差を感じる」と、ジューテックの担当者は話す。
 ジューテックでは、洗練したデザインをシンプルな躯体と施工性、極めて敷居の低い登録店制とスムーズな流通網を活かして人手できるJーFRAMEを、地場工務店が活かさない手は無いと見て、普及に努めている。


10年ぶりのテレビCMでPR
 高品質・高性能でブランド化

                   旭化成建材


 
 旭化成建材(東京都新橋) の熟材の主力は内断熱工法向けの「サニーライト」と外断熱工法向けの 「ネオマフオーム」 の二大商品。サニーライトは昭和59年の発売以来のベストセラー商品でネオマフオームは2000年から発売している。



テレビCMでブランド化
 
 旭化成はエンドユーザーから外断熱工法とネオマフオームの要望を高めるためのテルビCMを今月10月から開始。テレビCMは、「なるほど・ザ・ワールド」(1981〜96年) で内断熱工法向け断熱材「サニーライト」をPRして以来である。番組名は「ibuki」。自然が見せる一瞬の表情をフューチャリングし、自然に魅せられた写真家の作品と、その苦心と情熱をスチールとムービーのコラボレーションで紹介。自然と人間との「共生」とは何か、を追及する番組。(テレビ東京等全国20局で放送)
 さらに旭化成ではキャンペーンのためのウェブサイトをオープン (www.neoma.jp)。アンケートに答えた利用者にプレゼントを進呈。毎月5名に「Nin−endO DS」をプレゼント。さらに毎月1000名に断熱材普及のための特別編集本「断熱しようよ」をプレゼント。11月からは特別版DVDのプレゼントも開始する。

防火構造30分の防耐火性能
 
 「ネオマフオーム」は高品質を誇るフェノール系の断熱ボード。フライパンの取っ手などに用いられるフェノールを原料としているため耐火性能が高く、熱伝導率はA=0・020W/(m・k)燃焼実験では着火60秒後でも表面は炭化するが裏面には達せず、発生ガスも少ない。
 熟抵抗値2・5 (2m・K/W) の場合の厚みはわずか50mmでグラスウー
ル10K・125mmの2/5の厚さで済む。
 防耐火構造認定では防火サイディング (または繊維補強セメント) 12皿以
上+ネオマフオーム20皿以上外張り又は充填+せっこうボード9・5m以上
で防火構造30分。
 また大建工業では高断熱・高耐力・高耐火の「外張り断熱DNシステム」として耐力面材「ダイライMS」+「ネオマフォーム」+防火サイディング「真打」のシステムを推奨している。

パワーストラクチャー ナイスサービスレベル向上のアイテム
柱梁接合にホールダウンを採用した門型フレーム誕生
パワーストラクチャー ナイス木質門型ラーメンフレーム大特集
一般流通品の組み合わせで、十分に機能的な門型フレームが登場した。
 流通業にとどまらず、自社プレカット工場展開から金物工法住宅販売、構造計算にまつわるサービス展開までを
行う、ナイス梶i平田恒一郎社長、神奈川県横浜市、TELO45−/52116161) が、木質ラーメン工法「パワーストラクチャー」を開発した。
 これは、活山建築設計事務所主宰の稲山正弘氏と、建築金物メーカーの潟Jナイ(金井亮太社長、東京都足立区) の協力によるものだ。
 同工法は、金物も集成材も一般流通品を採用することで、施工性が高く、しかもめりこみ耐力性能を高めること
にも成功している。
 ナイスでは、同社が販売する金物工法住宅の躯体と連動して展開し、そのためのプレカット販売に反映させるサービスレベル向上のアイテムとして取り扱っていく。
 ナイスでは門型フレームについて5年前から研究を始め、その過程で2年前に稲山氏の協力を得た。そして先の4月に発表に至ったのだ。
 5年前の門型フレーム市場は、未だフレームの耐力的根拠の実証実験がメインであったが、近年市場が成熟し、構造的にシビアになつてきているとナイスでは見る。そこにきての今回の発売でもある。
 ナイスの門型フレーム 「パワーストラクチャー」 の金物は、稲山氏のアイデアにより、在来工法に使用するホールダウン金物を柱脚だけでなく、柱梁接合部にも使用する。
 このシンプルな構造により、大工は違和感なく容易な施工が可能となり、耐力は壁倍率10倍相当を有する。
 金物の選択と納まりが開発過程で重点的に試行錯誤され、めりこみ耐力性能向上のため、ホールダウンボルトのみぞのみの加工とした梁断面面積確保を行うことで、欠損面積を最小限に抑えることに成功した。
 また、フレームの耐力計算として、上階からの荷重を考慮して耐力を導く。フレームのみの耐力と住宅全体の構造計算2つを常に行っている。
 またフレームはベイマツ集成材で、梁105×450で強度はE120−F330、また柱105×360で強度はE135−F375と、一般流通品を使用しても極めて高い強度を有している。一般流通品の組み合わせにより製品化したパワーストラクチャーは、未だ市場には組み合わせやアイデア次第で新商品開発が可能になる素材が多くある、ということを端的に物語っている。
 ナイスの主眼はトータル受注の拡大に向けられている。 よって、同工法をナイスの金物工法住宅商品躯体の一部として「ナイスパートナー」会員に販売していく。住宅商品営業時における、営業マンの図面プラン面談の中でのサービスレベル向上の一つのアイテムという位置付けだ。
 ナイスではパワーストラクチャーの取扱い啓蒙のためナイスサポート会員・非会員に向けて3、4月に全国7カ所でセミナーを開催している。
 また躯体営業時の面談における現場で営業マンの能力向上のために、躯体
研修を今年1月から木更津工場で行っている。
 これは全国の社員が10人ずつ1週間の泊り込み研修を行うもので、これまでに約170人が研修、そして試験を受けている。また社内に建築士が200人存在することから、彼らが講師として赴き、建築躯体・金物工法の知識
を伝えている。
 その背景には、門型フレームが存在しなかったことで、断念せざるをえない住宅デザインが多くあったことも遠
因としてある。
 また、サポート面では、構造計算・N値計算・壁量計算・梁断面チェック等を盛り込んだ計算サービス 「ザクセスキヤド」を展開。ナイスではこのサポートにより、プレカット出荷量が大幅に増加し、現在ザクセスキヤド利用は、月間約750棟販売のうち、月間約600件にもなる。

狭小地に3階建てラーメン工法
IKエ法の3大都市圏普及と共に拡大

                         IKラーメン工法 伊藤忠建材



lKラーメン工法を使ったガレージ


 伊藤忠建材は、集成材とIK金物による次世代合理化工法「IK工法」を全国展開。17年度実500棟。今年度は10%〜20%増しの550〜600棟を計画している。
 このIK工法の中で都市狭小地3階建て向きのラーメン構法、「IKラーメン工法」を2002年に発表。主力の東京・大阪に名古屋を加えた3大都市圏で供給している。
 開発のきっかけはパワービルダーに代表される都市部の開発業者から、都市部の残地利用のために狭小地三階建ての要望が多かったことである。そこで倉庫や事務所などの規模の大きい建物に使っていた技術を応用。大断面集成材用で用いられる技術を住宅向けに適用した。
 IKラーメン工法はIK工法との組み合わせによる構造用集成材躯体による半剛接のフレーム。都市型狭小地・店舗併設住宅用に3・64〜6・00mの大開口に対応している。
 施工上の特色は工場での事前の組立てなので現場での地租が一切不要なこと。柱・梁にはベイマツの構造用集成材120×360皿を使用。接合部および柱脚にスリットを設け、鋼板400×800×6mを挿入後、約60本のドリフトピンを打ち込み半剛接接合を行う。
 ラーメン接合部の剛性の算定式に基づいた許容耐力・剛性の計算が可能で壁量9メートルと同等。(許容水平耐力は1フレームで約22kN)
 利用に当たっては専門のスタッフが構造計算・住宅性能表示制度への対応として基準法でのチェック・等級チェックのサービスを提供する。
 またIK工法の一部であるため、プランに応じて、門型ラーメンフレームと、IK工法を組み合わせながらコストダウンをはかることができるというメリットがある。IK工法の基本的な考え方は小屋組みにトラス構造を採用し建物外部に加重を集中させる構造を採用していることである。外周部の柱に構造用合板等や面材耐力壁を張り、床や屋根には剛性の高い構造用合板を使って安定性を確保する。在来工法に比べて柱の数が圧倒的に少なく出来るためにバリアフリーの確保も容易に.なる。
 IK工法による1棟ごとの販売になるために、フレームのみの販売は行っていないが、1フレームあたりの価格は約25万円。同社のIKラーメン工法は現在までおよそ100棟を供給しており、約22社が導入している。




金物工法の施工性がメリット 現場で簡単組立てOK
フレームシステム門型ラーメン構法 グランドワークス

   

 泣Oランドワークスは、金物工法のHS金物を展周する金物メーカーで第2位のシェアを持っている会社だ。パネル工法なども提供しており、常に住宅の合理化、高性能化を目指してきた。同社では基本となるHS金物工法を軸に全体をフレームシステム″と命名。門型ラーメン構法は、フレームシステムの一連の構成要素としての開発が行われてきた。
 フレームシステムのラーメン構法は、より簡単に現場施工したいというユーザーの要望に応えて開発された。製品の概要は、表の通りであるが、木質門型ラーメンフレーム大特集同社の門型ラーメンの門型を構成する集成材の接合部の接合方法は、新開発の接合金物とラグスクリューボルトで行う。工場であらかじめ接合金物とラグスクリューボルトをセット、現場に持ち込んで両脚を立ち上げ、その上端に梁を落としセット、ボルトを締めて固定するだけという簡単な機構。金物工法の作業と全く同じ要領でできるので、門型ラーメンではこれまでにない低価格を実現。
 また新たに柱脚ピン構造の門型を開発。いままでの門型ラーメンの柱脚は基礎から出たボルトを直接留める機構のため、ボルト埋め込み精度が要求されるなど施工が面倒だった。そこでHSシリーズの柱脚金物と同じように基礎に柱脚金物を設置し簡単にドリフトピン接合できるようにした。「性能が少し落ちるが、門型の設置本数を増やすなどで対応できる。かえつて施工しやすい」と同社ではPRする。
 また既存木造住宅の耐震改修が大きな市場となつてきたため、同社でも既存住宅での耐震改修、リフォーム向けの製品として、門型ラーメン構法をアレンジした「耐震補強フレーム」を製品化。これは既存の木造躯体の開口部など柱・梁の内側に補強用フレームを設置する構造で、フレームの4隅の接合に門型ラーメンで使っている接合金物とラグスクリューボルトを使用、強度をもたせる仕組みだ。
 さらに同社では、門型ラーメンの具体的な活用事例を提供するため、住宅プラン集の開発と掟供も行っている。これはHS金物工法と門型ラーメン構法の特徴を生かしたプランで南面の大開口や大きな吹き抜け、スキップフロアなどを盛り込んだもの。今後、ユーザーのビルダーや工務店には、社名入りでの提供も行う。
 また、供給体制の整備も進めており、同社の胡型ラーメンを供給できるプレカット工場は北海道や東北、関東等8社となつている。また門型ラーメン構法の金具やラグスクリューの取付では専用の加工機械を開発。価格も380万円と低価格に押さえ、同社の門型ラーメンの加工に取り組むプレカット工場等に供給している。施工実績は既に百数十に達し、今後の展開が期待される。門型ラーメンの利用では構造計算が必要なことから、構造計算サービスを展開するアルファーフォーラムと提携しサービスを展開している。また現在2方向ラーメン構法も開発中。


 問い合わせ先 富山県滑川市大榎452
電話076−471−2021、FAXO76−471−2400
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